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『GOING BACK~音楽と世界~ 』#26 2022/4/30 O.A.
4月30日放送分
#26「ソウルの誕生<第1回>」
第26回目のテーマは「ソウルの誕生<第1回>」。ゴスペルやブルーズといった音楽を元に、1950年代にR&Bとしてポピュラー化したブラックミュージックが、1960年代になるとソウル・ミュージックとして花開いていきます。そのソウル・ミュージックの源流を探っていきます。
4月30日選曲リスト
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21:01 Ray Charles “I Got A Woman”(1954)
ソウル・ミュージックの誕生を告げる1曲で、聴くたびに痺れる名曲です。ソウル・ミュージックにとって大きなルーツは「ゴスペル」です。当時は敬虔なキリスト教徒にとって、ゴスペル・ミュージックの雰囲気に世俗的な歌詞を持ってくるという行為は、絶対的なタブーとなっていましたが、このタブーを破ったのがRay Charlesでした。Ray Charlesのことを描いた伝記映画『Ray』では、その葛藤を知ることができます。
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21:08 Ray Charles “Hallelujah I Love Her So”(1956)
この曲のカヴァー・ヴァージョンは無数にありますが、このRay Charlesに匹敵するもは無いと思います。1950年代のRay Charlesは、とにかく名曲だらけです。映画『Ray』では、この曲をライヴ演奏をしている際に、観客の一人が「これはゴスペル曲の歌詞を変えているだけで、神に対する冒涜だよ」と、暴力的な言い方をするシーンがあります。
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21:13 James Brown “Please, Please, Please”(March 1956)
ゴスペルとブルーズを合わせた形で「ソウルの種」のようなものになる存在として欠かすことが出来ないのが、Ray Charles、James Brown、Sam Cookeの3人です。この曲は、Little Richardがナプキンに書き残した「Please, Please, Please」に触発されたJames Brownが作り上げたもので、大ヒットを記録しました。歌詞らしい歌詞がほとんどない、勢いだけで持ってくような曲ですが、見事な仕上がりになっています。
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21:18 the Soul Stirrers “ Touch The Hem Of His Garment”(March 1957)
続いてはSam Cookeです。ソロでデビューする前は、名門のゴスペル・カルテットThe Soul Stirrersのリード・ヴォーカルとして雇われていました。そのThe Soul Stirrers時代の楽曲からお聴きください。
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21:21 Sam Cooke and the Soul Stirrers “Nearer To Thee”(1955)
スタジオ録音の音源だけでも大変な盛り上がりがありますが…このライヴ音源は、聴いているだけで汗をかいてしまいそうです!ソウルの源流はここにあり、そう感じずにはいられない1曲です。
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21:32 Sam Cooke " You Send Me”(September 1957)
The Soul Stirrersでずっとやっていこうと思えば、それは可能だったでしょう。しかし、Sam Cookeは、ソロになって更にポップな音楽を作りたいと思っていました。このポップ路線への転換にSpecialty Recordsが発売を渋ったことから、別のレコード会社と契約してこの曲を出すと200万枚のヒットを記録しました。
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21:37 Ray Charles “Drown In My Own Tears”(1956)
ソウル・ミュージックというとビートの強いものが多い傾向ですが、これはテンポが極めて遅い1曲です。スロー・テンポでこれだけのグルーヴを作ってしまうのは、Ray Charlesの素晴らしい能力です。彼は、基本的に編曲も全て行なっていましたが、盲目のため点字で編曲をしていました。
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21:42 Ray Charles “What'd I Say, Pts. 1 & 2”(June 1959)
Ray Charlesが大スターなることを決定づけさせた1曲です。ライヴ中に時間が残ってしまい、ほとんど即興で作ってしまったという…!ポピュラー音楽の歴史の中でも傑作として残る名曲です。
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21:49 Horace Silver Quintet “Soulville”(May 1957)
ここまで50年代R&Bでソウルの源流を作った3人の曲を聞いていただきましたが、肝心な「ソウル」という言葉がまだ出て来てはいませんでした。しかし、ゴスペルやブルーズの影響を強く打ち出した「ハード・バップ」と呼ばれるジャズの世界から、1950年代中頃からタイトルに「ソウル」が入る曲が度々発表されています。その中から、Horace Silverが1957年に発表した1曲をお聴きください。
※福島県外で聴く場合は、radikoのプレミアム会員への登録が必要になります。放送後は、1週間タイムフリー機能で聴くことができます。
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『GOING BACK~音楽と世界~ 』#25 2022/4/23 O.A.
4月23日放送分
#25「ガール・グループ<第2回>」
第25回目のテーマは「ガール・グループ特集<第2回>」。
先週に続いて「ガール・グループ特集」の後半です。ガール・グループが一番輝いていた1960年代に生まれた名曲の数々を、”ジューク・ボックス”スタイルでをたっぷりとお送りします。
4月23日選曲リスト
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21:00 The Shangri-Las “Leader Of The Pack”(September 1964)
ガール・グループの歴史の中で一番の傑作!という人もいるこの曲は、フィル・スペクターのヒット曲をよく作詞作曲していたJeff BarryとEllie GreenwichとプロデューサーのShadow Mortonとの共作です。
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21:06 The Supremes “Stop! In The Name Of Love”(February 1965)
ガール・グループ特集で、モータウンの音楽は外すことができません。The Supremesが大スターになるきっかけとなった一曲で、Holland-Dozier-Hollandが作詞作曲をしています。作詞をしたLamont Dozierがモーテルで浮気をしていたところに彼女がその場に現れ、修羅場を迎えたときに、彼が放った一言が「Stop! In the Name of Love」。翌日にはこの曲が出来上がったそうです。
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21:11 The Marvelettes “Too Many Fish In The Sea”(October 1964)
「本気じゃない男に用はないわ」という女心を歌った曲。Norman Whitfieldがプロデュースしました。
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21:14 The Velvelettes “Needle In A Haystack”(July 1964)
当時、モータウンのガール・グループの中では知名度が低かったThe Velvelettesは、当時は若手で業績がなかったNorman Whitfieldがプロデューサーを担当していました。独特のハーモニーが印象に残る1曲です。
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21:18 Martha Reeves & The Vandellas “Dancing In The Street”(1964)
モータウンのガール・グループの中で、The Supremesに次いで大成功をおさめたのがMartha Reeves & The Vandellasではないでしょうか。この時期のモータウンは、あまりにも多くのヒット曲を世に送り出していたため、他の小さいR&Bのレコード会社もそのやり方を真似していました。
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21:24 The Soul Sisters "I Can't Stand It”(1964)
のちにSpencer Davis Groupがアルバムでカヴァーした一曲で、当時、まだ10代だったSteve Winwoodが歌っています。
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21:28 Patti La Belle & The Blue Belles “You'll Never Walk Alone”(1964)
ミュージカル『回転木馬』の挿入歌で、今でもリヴァプールのサッカー・チームのサポーターたちが歌う応援歌としても有名です。70年代半ばに"Lady Marmalade"を大ヒットさせるLa Belle のPatti La Belleが、The Blue Bellesと歌っています。
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21:33 The Ad Libs “The Boy From New York City”(December 1964)
ガール・グループというと、普通はメンバー全員が女性というものを連想をしますが、このThe Ad Libsは、リード・ヴォーカル以外はみんな男性で構成されています。
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21:36 The Dixie Cups “Chapel Of Love”(April 1964)
Jeff BarryとEllie Greenwichに加えて、フィル・スペクターも作曲に携わっています。カヴァー・ヴァージョンが山ほどある1曲ですが、1964年に発表されたThe Dixie Cupsのヴァージョンがアメリカのチャートで1位を3週独占しました。
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21:41 The Toys A Lover's Concerto”(August 1965)
ガール・グループのピークは1964年と言われています。その後は名曲が生まれにくくなりましたが、1965年に発表された楽曲の中では唯一、多くの人に知られている一曲ではないでしょうか。
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21:44 The Chiffons “Sweet Talkin' Guy”(1966)
のちに音楽業界の大物となるDoug Morris が書いた1966年の1曲です。この曲が、恐らくThe Chiffonsにとっての最後のヒット曲だと思います。
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21:47 The Sweet Inspirations “Sweet Inspiration”(1967)
多くのソウル・シンガーのバック・ヴォーカルを務めていた人たちで結成されたThe Sweet Inspirationsによる1曲です。
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21:50 Reparata & The Delrons “Captain Of Your Ship”(1968)
今回の1曲目は特殊効果が入ったThe Shangri-Lasの楽曲でスタートしましたが、最後も霧笛やモールス信号が入ったReparata & The Delronsの1曲をお聴きいただきました。アメリカではヒットしなかったものの、イギリスではトップ20に入るヒットを記録しています。
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『GOING BACK~音楽と世界~ 』#24 2022/4/16 O.A.
4月16日放送分
#24「ガール・グループ<第1回>」
第24回目のテーマは「ガール・グループ<第1回>」。
まだまだ圧倒的に「男社会」だった音楽業界で、しばらくの間、女性だけのヴォーカル・グループが最先端のサウンドを作り、多くのミュージシャンに影響を与えました。ガール・グループが一番輝いていた60年代に、彼女たちが残した音楽を2週に渡ってお送りします。
4月16日選曲リスト
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21:01 The Bobbettes "Mr. Lee"(1957)
いかにもDoo-wopのスタイルが特徴的な1曲。リード・ヴォーカルに対して応えていく”コール&レスポンス”というゴスペルに不可欠な要素を強く感じる事ことができます。
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21:04 The Chantels “Maybe”(1958)
ガール・グループの音楽は、The BobbettesのDoo-wopスタイルから、もう少しだけポップな方向にシフトしてきました。この曲が発表され、その後に続くガール・グループたちの土台が出来上がったように感じます。
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21:08 The Shirelles “Will You Love Me Tomorrow”(1960)
Carole KingとGerry Goffinが手掛けた1曲で、黒人によるガール・グループの中では、初めてアメリカのチャートで1位を獲得しました。この曲が発表された1960年は、まだ保守的な時代で、歌詞の内容が一部で物議を醸しました。
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21:12 The Shirelles “ Baby It's You”(1961)
The Beatlesは、The Shirelles のこの曲と、シングル“Will You Love Me Tomorrow”のB面に入っていた”Boys"をデビュー・アルバムでカヴァーしています。The Beatlesの中では、John Lennonが最もガール・グループのサウンドが好きだったと言われています。
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21:17 The Paris Sisters “ I Love How You Love Me”(1961)
フィル・スペクターが大きく注目される1962年の前に、彼が相当なこだわりを持って録音をした1曲です。比較的、黒人が多かったガール・グループの中で、The Paris Sistersは白人で構成されたグループでした。
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21:22 The Cookies "Chains”(1962)
この曲もThe Beatlesが取り上げた1曲です。The Cookiesは50年代にできたグループでしたが、オリジナル・メンバーの1人を除くメンバーが、Ray Charlesに抜擢されて、The Raelettesというバック・ヴォーカルのグループになります。その後、1人だけ残っていたEarl-Jean McCreaが、新しいメンバーを集めて残したヒット曲の一つがこの "Chains”です。
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21:26 Ruby & The Romantics “Our Day Will Come”(1963)
ガール・グループの一番の当たり年は、おそらく1963年ではないでしょうか。僕自身は、ガール・グループというと「メンバーが全員女性」と思っていますが、「リード・ヴォーカル以外は全員男性」でもガール・グループの内に入れられる人たちがいます。そういった楽曲の一例です。Amy Winehouseによるカヴァーもあります。
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21:29 The Exciters “Tell Him”(1963)
作曲したのが"Twist and Shout"の作者でもあるBert Berns、プロデュースしたのはJerry LeiberとMike Stollerです。ちなみにイギリスではBillie Davisがカヴァーしたヴァージョンがヒットしました。
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21:34 The Exciters “Do-Wah Diddy”(1963)
このThe Excitersのヴァージョンはそれほどのヒットはしませんでしたが、翌1964年にイギリスのグループManfred Mannがカヴァーすると、イギリスとアメリカで1位を記録しました。
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21:37 The Chiffons “He's So Fine”(1963)
1963年にアメリカで1位を獲得し、イギリスでも16位を記録したヒット曲です。この8年後にGeorge Harrisonの”My Sweet Lord"がヒットすると、この曲の権利を持つ音楽出版社がGeorge Harrisonを盗作で訴えました。裁判では、George Harrisonが「潜在的に盗作をした」という判決が下されましたが、いずれにしても名曲であることには変わりありません。
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21:40 The Chiffons “One Fine Day”(1963)
こちらは、Carole KingとGerry Goffinによる楽曲で、Pucciniの『Madame Butterfly』のオペラの中にある曲のタイトルにインスピレーションを受けて作った1曲です。
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21: 43 The Angels “My Boyfriend's Back”(1963)
1963年に発売されたガール・グループの名曲が続きます。
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21:46 The Jaynetts “Sally, Go 'Round The Roses”(1963)
1963年当時、このようなサウンドのレコードは他に無かったと思います。Grace SlickやLaura Nyroなどが「この曲に影響された」と言っています。
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21: 50 The Shangri-Las “ Remember (Walkin' In The Sand)”(1964)
当時にしては非常に斬新なサウンドを作っていたプロデューサーのShadow Mortonは、フィル・スペクターに憧れを抱いていたそうです。この曲でピアノを弾いていたのは、まだ無名だったBilly Joelです。
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『GOING BACK~音楽と世界~ 』#23 2022/4/9 O.A.
4月9日放送分
#23「フィル・スペクターの世界<第3回>」
第23回目のテーマは「フィル・スペクターの世界<第3回>」。
「Wall Of Sound」でヒットを量産したフィル・スペクターが、60年代の終わりにビートルズと繋がって、John LennonやGeorge Harrisonのソロ活動に大きく関わっていきます。今週は、その活動に翳りが見えてくる70年代の仕事を聴いて行きます。
4月9日選曲リスト
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21:00 John Lennon & The Plastic Ono Band "Power To The People"(March 1971)
1971年2月に録音し、3月にシングルとして発表した1曲です。この曲は、歌というよりも、メロディーに乗せたスローガンのような感じのものでした。
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21:06 John Lennon “Gimme Some Truth” (September 1971)
ちょうど"Power To The People"のシングル制作と同じ時期に、John Lennon2作目のアルバム『Imagine』の制作も進んでいました。このアルバムのB面に収録された1曲です。かっこいいスライド・ギターを弾いているのは、George Harrisonです。
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21:13 George Harrison “Bangla Desh” (July 1971)
バングラデシュという国家が生まれたのが1971年だったため、このレコードが出たことによってバングラデシュという言葉を知った人が多くいました。バングラデシュの前身となる国家「東パキスタン」では、続く内戦と巨大なサイクロンの影響により多くの難民が生まれていました。George Harrisonと親交があった、ベンガル地方のバングラデシュに程近い所に住むミュージシャンのRavi Shankarは、この難民の問題を西洋の人にも知ってほしいと相談をし、George Harrison主催の「The Concert for Bangla Desh」が1971年8月1日に行われました。このコンサートとは別にシングル曲として発表されたのがこの曲です。
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21:18 George Harrison “Wah-Wah”(December 1971)
「The Concert for Bangla Desh」は、史上初のチャリティ・コンサートと言われています。このコンサートは、Leon Russellがバンドマスターを務め、Billy Preston、Eric Clapton、Jesse Ed Davisをはじめ、豪華なオールスター・バンドが編成されました。このライヴ・アルバムのプロデューサーとして、フィル・スペクターがクレジットされています。
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21:23 Ronnie Spector “Try Some Buy Some”(April 1971)
1970年代に入ると、次第にフィル・スペクターの不審な行動が目立つようになります。1971年のGeorge Harrisonの仕事と同じ時期に、フィル・スペクターはRonnie Spectorのシングルを作りました。本当はLPを作る予定でしたが、あまりにも不審な行動が目立つようになったため、結局、シングルを1枚出しただけとなりました。
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21:29 Darlene Love “White Christmas”
1963年11月22日に発売されたものの、ケネディ大統領暗殺の時期と重なって、レコードが回収されてしまった『A Christmas Gift for You from Phil Spector』。この名盤が、1972年にアップル・レコードから再発されました。アルバムに収録されたDarlene Loveの1曲です。
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21:35 Leonard Cohen “Memories”(November 1977)
フィル・スペクターがプロデュースしたアルバム『Death of a Ladies' Man』に収録された1曲です。このアルバムを作ってる最中、フィル・スペクターがピストルをLeonard Cohenの喉に突き付けて、耳元で「レナード、あんた大好きだよ」って囁いたというエピソードがあります。Leonard Cohenは「そうだといいけど。」と答えたということですが、スタジオにいつもピストルを置いていた彼のこの手のエピソードは他にもいくつかあります。
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21:42 Ramones “Baby, I Love You”(January 1980)
フィル・スペクターがプロデュースし、The Ronettes “Baby, I Love You”をRamonesのJoey Ramoneに無理矢理歌わせたといわれる1曲。ほかのメンバーは演奏を拒否したため、実質Joeyのソロ曲。1980年発表のアルバム『End of the Century』に収録されています。
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21:49 The Ronettes “Walking In The Rain”(October 1964)
70年代以降のフィル・スペクターは不審な行動が目立つようになりますが、特に60年代の前半に素晴らしい作品を沢山残していて、それがまたポピュラー音楽の歴史を決定的に変えたところもあります。最後に彼が残したThe Ronettesの名曲を。
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『GOING BACK~音楽と世界~ 』#22 2022/4/2 O.A.
4月2日放送分
#22「フィル・スペクターの世界<第2回>」
第22回目のテーマは「フィル・スペクターの世界<第2回>」。
60年代に「Wall Of Sound」で、ヒット曲を量産したレコード・プロデューサーのフィル・スペクター。2週目となる今週は、60年代の終わりにビートルズと繋がって、John LennonやGeorge Harrisonのソロ活動に大きく関わっていく時代の音楽を紐解いていきます。
4月2日選曲リスト
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21:00 The Ronettes "Baby, I Love You"(November 1963)
先週かけた"Be My Baby”という大ヒット曲の、次のシングル曲です。この曲のレコーディングを行う日が、Dick Clarkが主催した「Caravan of Stars」というツアーの日と重なってしまった為、どうしてもレコーディングしたいフィル・スペクターは、リード・ヴォーカルのRonnie Bennettだけをカリフォルニアに留め、Darlene Love、Sonny & Cherという、まだデビュー前の2人をバック・ヴォーカルに起用してレコーディングを行いました。
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21:07 The Righteous Brothers “You've Lost That Lovin' Feelin'”(November 1964)
日本では「ふられた気持」というタイトルがついている1曲です。「Wall Of Sound」の最高傑作を挙げるのであれば、The Ronettes"Be My Baby”かこの曲、という人が多いのではないでしょうか。
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21:13 Ike & Tina Turner “River Deep - Mountain High” (May 1966)
この曲でフィル・スペクターが必要としていたのはTina Turnerだけで、Ikeはクレジットはされましたが、セッションには来ませんでした。当時のイギリスではチャートの3位まで上がるヒットとなりましたが、アメリカではそれほど人気が出ませんでした。スペクター自身は「傑作」だと自信満々だったけれど、結局アメリカで売れなかったことで、彼は相当な打撃を受けて、実質的にしばらく引退状態、引きこもり状態になりました。
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21:19 Sonny Charles And Checkmates Ltd “Black Pearl”(April 1969)
しばらくの間、音楽活動を休止していたフィル・スペクターが久しぶりに作ったレコードです。この曲は、まずまずのヒットを記録しました。
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21:24 John Lennon & The Plastic Ono Band “Instant Karma! (We All Shine On)”(February 1970)
フィル・スペクターは、The Beatlesの関係で70年代の前半にかなりいいレコードをまた手がけるようになります。そのきっかけとなるのが、John LennonやGeorge HarrisonのマネジャーをしていたAllen Kleinです。彼は、フィル・スペクターをロンドンに呼び、John Lennonの最初のソロでのシングルをプロデュースさせます。John Lennonがそれを気に入ったために、The BeatlesのAlbum「Let It Be」を手がけることになります。
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21:29 The Beatles “ Across The Universe”(May 1970)
Allen Kleinのアイデアから、フィル・スペクターが一度完全にお蔵入りになってしまっていた「ゲット・バック・セッション」を復活させてなんとか形にしたものが、1970年5月、The Beatlesの解散が発表された直後ぐらいに発売されました。その出来を巡っては色々なことが言われていますが、John Lennonはこの曲の仕上がりをとても気に入っていました。
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21:34 The Beatles “The Long And Winding Road”(May 1970)
逆にPaul McCartneyは、自分の曲をフィル・スペクターがオーケストラを入れて仕上げた編曲に、最初から不満を持っていました。今でも、彼は「嫌だ」と言い続けていますが、ファンは意外にそうでもないかもしれません。
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21:39 John Lennon “Isolation”(1970)
1970年に発表されたJohn Lennon最初のソロ・アルバム『John Lennon/Plastic Ono Band』に収録された1曲。The Beatles解散後も、フィル・スペクターはJohn Lennonの作品を手がけ続けました。
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21:43 George Harrison “My Sweet Lord”(November 1970)
George Harrisonのアルバムもフィル・スペクターがプロデュースすることになりました。George HarrisonはThe Beatlesの時に使ってもらえない曲がたくさん溜まっていて、結果3枚組のアルバム出すことになりました。このレコーディングでは、60年代の「Wall Of Sound」に近い形で多くのミュージシャンを起用し、みんなに同じリズムで同じフレーズを弾かせ、音に厚みを出すことを効果的に実践していました。それが、特に上手くいったのが“My Sweet Lord”だと思います。
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21:48 George Harrison “All Things Must Pass”(November 1970)
最後にGeorge Harrisonのソロ・アルバム『All Things Must Pass』のタイトル曲をお送りします。
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