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『GOING BACK~音楽と世界~ 』#17 2022/2/26 O.A.
2月26日放送分
#17「モッズが変えたイギリス<第4回>」
第17回目のテーマは「モッズが変えたイギリス<第4回-最終回>」。
ここまで3週に渡って「モッズ」がどのように生まれて、どんな音楽を好んで、どんなファッションで、どんな文化を生んだのか、時代を追ってご紹介してきました。最終回となる今週は、まさにモッズの象徴となったグループや音楽をたっぷりとお届けします。
2月26日選曲リスト
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21:02 Small Faces "What'cha Gonna Do About It?"(August 1965)
Small Facesのデビュー・シングル曲。モッズの動きは、1950年代終わりから1960年代初頭にかけてが一番面白い時期で、この曲が発売された1965年はメインストリームでのピークを迎えていました。今日はBBCの番組に出演した時のライヴ演奏でお聴きいただきました。
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21:07 Small Faces “Baby Don't You Do It”(1967)
Marvin Gayeが歌ったモータウンの楽曲をカヴァーした1曲で、こちらもBBCの番組に出演した時のライヴ演奏です。Small Facesのグループ名は、みんな「小柄(Small)」だったということと、モッズの社会で一目置かれるちょっとカッコイイ人のことを「face」と呼んでいたことからつけられました。ちなみにこの曲は、The BandやThe Whoもカヴァーしています。
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21:12 The Who “Daddy Rolling Stone” (May 1965)
The Whoの2作目のシングル「Anyway, Anyhow, Anywhere」のB面に入っていたのが、Otis Blackwellの曲をカヴァーした “Daddy Rolling Stone” です。元々はモッズよりもロックンロール寄りの音楽を演奏していたバンドでしたが、マネジャーだったPeter Meadenが、モッズに受けそうな感じのグループに仕立て直しました。
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21:16 The Who “I Can't Explain”(January 1965)
The Whoがデビューしたのは1965年です。『Ready Steady Go』でこの曲を演奏し、イギリスでトップ・テンのヒットになりました。プロデューサーは、ロンドンで活動をしていたアメリカ人のShel Talmyで、初期のThe WhoやThe Kinksのレコードを手がけていました。モッズの代表的なバンドを挙げるとすると、やはりSmall Faces、The Who、The Kinksの3組ではないでしょうか。
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21:20 The Kinks “You Really Got Me”(August 1964)
1964年の時点では「ファズ・ボックス」がまだ商品として登場していませんでした。The KinksのギタリストだったDave Daviesは、自分が持ってた安いアンプのスピーカーの「コーン」をカミソリの刃で切って、それで音を歪ませていました。さらに、その歪んでるアンプを別のアンプに繋げて、さらにこれが歪んだ音になって、非常に画期的なサウンドを作ったのがプロデューサーのShel Talmyです。
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21:24 The Kinks “Dedicated Follower Of Fashion”(February 1966)
直訳すると「一生懸命に流行を追っかけていく人」という意味の歌です。Ray Daviesは、The Kinksというグループがモッズの象徴的なグループであると同時に、モッズがただの流行に成り下がっていく様子を、この歌で客観的に綴りました。この時期、ソングライターとして成長していったRay DaviesとPete Townshendは、極めてイギリス的な曲も作るのが特徴です。
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21:29 The Yardbirds “ Heart Full Of Soul”(June 1965)
最初はブルーズ・バンドとしてデビューを果たしたThe Yardbirds 。ギターがEric ClaptonからJeff Beckに代わり、そのJeff Beckが最初に参加した1965年のシングル曲です。若干、のちにサイケデリックと呼ばれるようなスタイルも入っています。
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21:34 Duffy Power “I Saw Her Standing There”(May 1963)
1963年当時、アルバム『Please Please Me』でデビューしたばかりのThe Beatlesを、本格的なR&B歌手であったDuffy Powerがいち早くカヴァーしたました。演奏は The Graham Bond Quartet でorgan: Graham Bond, bass: Jack Bruce, drums: Ginger Baker, guitar: John McLaughlinというメンバーです。
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21:38 The Move “I Can Hear The Grass Grow”(March 1967)
バーミンガムのグループだったThe Moveの1967年にシングルとしての大ヒット曲です。これは当時、ドラッグ関係の曲と受け止められていましたが、曲を作ったRoy Woodは、一貫して「違う」と主張していますので、おそらく彼の言う通りなんでしょう。
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21:42 Alan Price “ I Put A Spell On You”(May 1966)
The Animalsの中心メンバーだったキーボード奏者のAlan Priceは、グループを脱退後にThe Alan Price Setを結成します。Screamin' Jay Hawkinsをカヴァーした1曲で、Nina Simoneのカヴァーでも有名な曲です。R&Bとモダン・ジャズのちょうど境目ぐらいのところで、オルガンという楽器は、モッズの時代にすごく好まれたものでした。
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21:47 The Spencer Davis Group"Blues In F"(October 1966)
大ヒットしたシングル『Gimme Some Lovin’』のB面だった渋くてかっこいいインストゥルメンタルです。オルガンが上手な人を挙げると、Steve Winwoodも外すことはできません。ヴォーカリスト、ギタリスト、キーボード奏者でもあった彼は、当時、まだ18歳でした。
※福島県外で聴く場合は、radikoのプレミアム会員への登録が必要になります。放送後は、1週間タイムフリー機能で聴くことができます。
リスナーの皆さんからのテーマのご提案や番組の感想もお待ちしています!
『GOING BACK~音楽と世界~ 』#16 2022/2/19 O.A.
2月19日放送分
#16「モッズが変えたイギリス<第3回>」
第16回目のテーマは「モッズが変えたイギリス<第3回>」。
1週目は【カリブ海から移民達が持ち込んだカリプソ】、先週2週目は【モダン・ジャズ、スカ、R&B】を聞いて来ましたが、3週目となる今週は、モッズが好んでクラブで聴いていた本格派のミュージシャンたちをたくさんお届けします。
2月19日選曲リスト
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21:02 Dobie Gray "The In Crowd"(1964)
1965年にアメリカ・イギリスの両国で大ヒットした1曲。Ramsey Lewisがインストゥルメンタルでライブ録音したヴァージョンも、ジャズの世界では大ヒットしました。1964、65年は、モッズのピークと言える時期で、これまで紹介してきたR&Bの音楽を、海賊ラジオやダンス・クラブで聞いていた人たちが、今度は自分達でバンドを始めて、そのバンドがだんだん人気を博していく時期でした。
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21:07 Manfred Mann “5-4-3-2-1”(1964)
モッズが好む音楽を大々的に普及させていたのが、1963年〜66年まで、毎週金曜日の夕方にイギリスの民放で放送されていた『Ready Steady Go』という30分のテレビ番組でした。毎週、ティーネイジャーに向けて、最先端の音楽、ファッション、踊りなどを紹介するものですが、その番組テーマ曲の中で、僕が一番よく覚えているのがこの曲です。
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21:10 Them “Baby Please Don't Go” (1964)
『Ready Steady Go』の中で紹介されていた1曲。歌っているのは、当時19歳だったVan Morrisonです。この曲では、Jimmy Pageがギターを弾いていると言われています。シングルのB面には、今でも初期のVan Morrisonの代表曲と受けとられている"Gloria"が入っていました。
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21:16 The Rolling Stones “Mother's Little Helper”(1966)
アルバム『Aftermath』に収録されたドラッグについて歌った曲です。モッズの話をするとき、避けて通れないのが「ドラッグ」に関する話です。*日本でこういった話をする際に必ず言わなければいけないのは「決して、ドラッグを使用することを擁護しているわけではない」ということです。当時のイギリスでは、アルコールを店頭で販売するときに特別なライセンス(高額の)が必要だったので、ソフト・ドリンクだけを出しているクラブも多くありました。しかし、ソフト・ドリンクだけでは朝まで踊るエネルギーが続かないことを理由に、モッズはみんな覚醒剤、錠剤を口にしていました。こういうタイプの薬は、医師の処方があれば手に入るものでしたが、そうでなければもちろん非合法でした。
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21:20 Zoot Money's Big Roll Band “Big Time Operator”(1966)
モッズ本番の時代を支えていたのは、たとえヒット曲は少なくても、毎週末クラブにお客さんを確実に集めることができる歌手やグループでした。Zoot Money's Big Roll Bandはモッズの好むクラブの中でも最も有名な「The Flamingo Club」によく出ていました。
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21:25 Herbie Goins & The Night-Timers “Comin' Home To You”(1967)
こちらも「The Flamingo Club」に出ていたグループです。Herbie Goinsは、アメリカの黒人の歌手でした。当時のロンドンでは本物のアメリカのR&B歌手、しかも黒人のR&B歌手は、他にいなかったと思います。
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21:29 Rod Stewart “Good Morning Little Schoolgirl”(October 1964)
1964年に発売されたRod Stewartのデビュー曲です。当時19歳だった彼は、Long John Baldryの紹介でレコード会社と契約。しかし会社から提案された曲が、ポップ色が強すぎるということで、自分が好きなブルーズの曲を逆提案したんだそうです。なんとその話が通って、デビュー・シングルで出したのがSonny Boy Williamsonのこの曲でした。
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21:34 Georgie Fame & The Blue Flames “I Love The Life I Live”(October 1964)
1964年に発表された2作目のアルバム『Fame At Last!』に収録された1曲。「The Flamingo Club」と最も深く関係しているミュージシャンといえば、かなりの頻度で週末にオールナイトの演奏をしていたGeorgie Fameではないでしょうか。
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21:39 Wilson Pickett “Mustang Sally”(October 1966)
Chris FarloweとEric Burdonが一緒に「The Flamingo Club」へ行ったときに、演奏をしていたのがWilson Pickettでした。彼が“Mustang Sally”を歌う途中で「誰か、ステージに上がって一緒に歌わないか?」と誘ったところ、Eric BurdonがChris Farloweを推薦しステージで歌い出したところ、あまりに本格派すぎた為、Wilson Pickettは直ぐにマイクを奪ってしまったそうです。
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21:42 Chris Farlowe “Out Of Time”(June 1966)
The Rolling Stonesの曲をカヴァーした1曲で、イギリスで1位になった大ヒット曲です。Chris Farloweは、ルックスは決して女性受けタイプではなかったのですが、歌に関しては“右に出るものがほとんどない”くらい本格的なR&Bを歌える人でした。
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21:47 Little Joe Cook aka Chris Farlowe" Stormy Monday Blues, Pt. 1"(June 1965)
Chris Farloweが別名で作った1曲です。1960年代のブルーズ・シーンをテーマにしたドキュメンタリー映画『Red White & Blues』の中でChris Farloweは「リハーサルをしているつもりの演奏が、実は録音されていて、そのことに気がついた時には、もう既にレコードが発表されていた。」と語っています。
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『GOING BACK~音楽と世界~ 』#15 2022/2/12 O.A.
2月12日放送分
#15「モッズが変えたイギリス<第2回>」
第15回目のテーマは「モッズが変えたイギリス<第2回>」。
先週は、モッズの起源を辿って、カリブ海からやってきた”カリプソ”を中心に取り上げました。今週は、モダン・ジャズ、スカ、R&Bと、モッズ色が濃い時代の音楽を掘り下げていきます。時代は、1959年〜1963年頃までです。
2月12日選曲リスト
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21:02 Miles Davis “So What”(June 1959)
あまりにも有名なMiles Davis の“So What"。1959年夏に発表された『Kind of Blue』の1曲目に収録。初期のモッズは、こういう音楽も聞きました。また、いつもBrooks Brothersのスーツを纏っていた彼のルックスも憧れの対象でした。
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21:07 Laurel Aitken “Boogie Rock”(1960)
1950年代の終わりから1960年頃には、ジャマイカのレコードもかなり出るようになります。カリプソのレコードを出していたのは「MELODISC」という会社で、その傘下の新たなレーベルが「BLUE BEAT」でした。「BLUE BEAT」は、「スカ」という呼び方ができる前に、ジャマイカの音楽を呼ぶ言葉として使われていました。そのレーベル第一号として発表されたのがこの曲です。
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21:11 Lord Creator “Independent Jamaica” (1962)
1962年にChris Blackwellが立ち上げた音楽レーベル「Island Records」第一号のレコードです。ちょうどこの年に、ジャマイカがイギリスの植民地から独立します。彼は、トリニダド出身のカリプソ歌手でしたが、ジャマイカの独立を祝う気持ちでこの曲を作ったのだと思われます。
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21:17 Prince Buster & The Blue Beats “ Independence Song”(1962)
Prince Busterは、ジャマイカでDJ、プロデューサー、レコード制作などを手掛ける、初期のスカを代表するミュージシャンの1人でした。彼が「BLUE BEAT」から発表したジャマイカ独立に関する1曲です。
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21:21 Don Drummond & The Skatalites “ JFK's Memory”
元ジャズ・ミュージシャン達がスカを演奏することで、ジャマイカで有名になったグループがThe Skatalitesです。独立するまでのジャマイカでは、ラジオの媒体をイギリス人が支配してたため、かかる音楽のほとんどが白人の音楽でした。独立後、ようやく「スカ」という音楽がラジオでよくかかるようになりました。これは、天才的と呼ばれたトロンボーン奏者Don Drummondがケネディ大統領暗殺に触れた1曲です。
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21:27 Ray Charles“Hit The Road Jack”(1962)
1963年にできた「The Scene Club」では、当時20歳だったGuy StevensがDJとしてR&Bのレコードを沢山かけてました。評判は口コミで広がり、次第に若者が集まってくるようになります。まだデビュー前のThe Who、Small Faces、The Yardbirdsなどのメンバー達もいたそうです。「The Scene Club」では、例えば、こんなレコードがよくかかっていたそうです。
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21:30 Gary "U.S." Bonds “New Orleans”(1960)
こちらも当時のロンドンのクラブで人気だった1曲です。Gary "U.S." Bondsという名前は、当時流行っていた『米国債(U.S.Bonds)を買おう』という宣伝文句に便乗して名付けられものです。1961年には「Quarter To Three」もヒットし、彼の大ファンを公言するBruce Springsteenに大きな影響を与えました。
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21:35 Phil Upchurch Combo “You Can't Sit Down (Part 1)”(1961)
1964年になると「Island Records」の社長だったChris Blackwellが、人気DJのGuy Stevensを抜擢して、新たなレーベル「SUE」を作ります。R&B好きの間では特に評判の高いレーベルで、イギリス国内で入手困難だったアメリカのインディーレーベルのR&Bの名曲をコンピレイションLPとして発表していました。その中に収録されていたのがこの曲です。
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21:39 Bobby Parker “Watch Your Step”(1961)
こちらも、イギリスですごく人気があった60年代初頭のR&Bの1曲。この曲を相当好きだったのがJohn Lennonで、The Beatlesがこれをモチーフにして“I Feel Fine"を作ったというのは大変有名な話です。
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21:42 James Brown And The Famous Flames “ Night Train”(1962)
「The Scene Club」の経営者だったRonan O'Rahillyは、海賊ラジオ局の「Radio Caroline」の経営者でもありました。人気の海賊ラジオがこういう音楽をかけるので、イギリス全体でR&Bの人気が拡散していきます。“ Night Train”は、元々セントルイスのサックス奏者Jimmy Forrestが出した曲で、数多くのカヴァーがありますが、James Brownが1961年に録音したこのヴァージョンは秀逸です。
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21:47 Inez & Charlie Foxx “ Mockingbird”(1963)
Guy Stevensが「SUE」レーベルで出した中でとりわけ人気があった1曲。一度聞けば絶対忘れない名曲だと思います。
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21:51 Art Blakey “Moanin'”(January 1959)
この時代、イギリスでラジオ番組のテーマ曲として使われていたモダン・ジャズの名曲。日本でもそうだったのでは?
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